続・母もぼやいてみたいなり

心機一転。しかし母はぼやき・戯言・寝言を続けます。どうぞよろしくお願いします。

「チベット」との一寸した関わり

ちょっと前になるが、旦那と話してて、

「今年になってさ、チベットのニュースがちょっとだけ流れてたけど、

 あれに気がついた人はどれだけいるんかな?」

と私が話すと、「何かあったっけ?」と旦那。

見逃された方が多いんじゃないかな…とは思う。

 

CNN.co.jp : 25年前に失踪したパンチェン・ラマ、「大学卒業して就職」と中国外務省

 

以前配属されていた場所で、何かの縁で、

チベット語の書籍”ペチャ”の目録作成の仕事をしていた。

当然のこと、チベット語の分かる方々にご協力を頂いたのだが、

仕事の傍ら、色んな専門的な事や雑談の中で、

間接的ではあるが、チベットという国や人々、文化に触れる機会を得た。

 

「今、チベットの研究をするためには、インドに行くんです」

 

院生の子が言った事の意味が最初はわからなかった。

誠に恥ずかしい話だが、私は現在のチベットの状況を全く知らなかったのだ。

チベットの政府は現在『亡命政府』という形でインドのダラムサラという地にあり、

元々のラサの地には、寺院等は残っているが、研究するものは何もない、

とその子は言っていた。

 

中国政府の近隣諸国との衝突や、少数民族にたいする政策等は耳にしている。

チベットも然りで、人民解放軍の侵攻により元々の地を追われることになった。

 

パンチェン・ラマを中国は誘拐したんですよ」

 

この話を聞いたころには、パンチェン・ラマダライ・ラマに次ぐ高僧であること、

パンチェン・ラマダライ・ラマの教育係も担っていること、など知っていた。

だから、この”誘拐”の話は衝撃だった。

前世である10世の死後、転生したと認められた11世が親共々失踪した。

その後、中国政府の息のかかった対立11世が擁立される。

当初、中国政府は誘拐を否定していたが、その後、保護という意味で連行したことを認めている。

 

もう、絶句だった…。

転生ラマは、前世が亡くなった後、次の代へ転生するとされるが、

「転生霊童」と言われ、文字通り転生する相手は「子ども」である。

中国政府は小さな子どもを連行したことを認めていることになる。

 

先ほどのニュースは、その連行されたパンチェン・ラマ11世の、

現在の様子を中国側が報告したものだ。

 

『生きていてくれているのか』

 

それが最初に思ったことだ。

世界的な常識が全く通用しない国で、今も生きていてくれている事だけでも、

何かしら安心させられた。

勿論、他の面では許されざる事は沢山あるが、まずは生存していることがうれしい。

チベット仏教の信者でもなんでもない私だが、素直にそう思った。

 

チベット研究者の方々との接点がなければ、

見過ごしてしまっていたニュースだったろう。

 

今のチベットのラサは、すっかり観光地となっているらしい。

チベット語を理解する人々が居ない中、

チベットを売り物にしている事をどう思うか。

主を失った寺院を見て、何の疑問も抱かないのは絶対におかしい。

上のニュース、見逃すことなく、もっともっと掘り下げて、

今のチベットについて知ってほしいと思う。