続・母もぼやいてみたいなり

心機一転。しかし母はぼやき・戯言・寝言を続けます。どうぞよろしくお願いします。

牛スジ

おでん。

いい響きだ。おでんの季節の到来。

家族で湯気の立つお鍋を囲んで、ふぅふぅしながらネタにかぶりつく。

いろんな具材があり、各々の食感や味を楽しむ。

たまに熱さに悶え苦しむことがあれど、それもご愛嬌。

兎に角、おでんは人を和ませる。

 

母が作ってくれるおでんは最高に美味しかった。

特に、私は牛スジが好物で、いつも大量に作ってもらうようリクエストしていた。

我が家で牛スジを好むのは私1人だったので、まさに独り占め状態。

どれだけ食べてもOKだった。

 

が、だ。

 

32歳の冬。

私は牛肉で蕁麻疹を発症した。かなり症状は重かった。

原因は牛肉だけでなく、当時ひいていた風邪と疲労の三つ巴だったようだが、

それ以来、全く牛肉は食べられなくなった。

当然だが、大好物の牛スジも食べられない。

非常に悔しい思いをしている。大いなる喪失感…。

 

毎年、寒い時期を迎えるとおでんを拵える。

でも牛スジを投入することは叶わない。作っても別個になる。

コンビニのおでんを買うこともできない…。

 

『あの時はたまたま体調が悪くて』と思っていたが、

先日、親不知の抜歯の際に、簡単に栄養補給と思ったゼリー食品で、

やはり蕁麻疹が出てしまった。

どうにもこうにも牛肉関連は克服できず、再度喪失感を味わった。

 

それでも家族が好物の牛スジの土手焼きは作る。

今日も土手焼きを作った。

大人になった次男も、『美味しい!』と言ってくれた。

牛肉アレルギーの母が、悔しさ紛れに作る牛スジの土手焼き。

この味と共にしっかり覚えて欲しいものだ。

母が鍋の前で、色んな欲望や葛藤で悶絶していることを。

美味しそうに食べる姿を恨めしそうに見つめる母の顔を(爆)